【ダーティダズン、クリーン15 最新リスト2024 】アメリカの野菜・果物の農薬残留

本日の内容はこちらの動画でも解説しています。

https://youtu.be/Fd2ojNalgz0

今回は、アメリカで野菜や果物を買う時、もしくはアメリカから輸入された野菜や果物を買う時に知っておきたい、アメリカの残留農薬が多い野菜や果物、そして残留農薬の比較的少ない野菜や果物についての、2024年3月末に発表された2024年の最新のリストをご紹介します。

出来るだけオーガニックにしようと思っているけど、値段も高いし、オーガニックでなくてもできれば少しは安心して食べられるものがあるといいな、そんな方に、参考にしていただけたらと思います。

もちろん、野菜や果物は、たとえ、農薬残留の高いものであっても、食べないよりもずっと食べる方がメリットが大きいです。なので、農薬残留が高くて、オーガニックであっても高いから食べない、というのではなく、オーガニックで高いのなら、オーガニックでないものでも、食べないよりは食べたほうが良いので、あまりシビアにおそれることなく、野菜や果物は食べてくださいね。

また、リストの他にも、なぜ残留農薬に関して気をつけなければいけないか、オーガニックの農作物の規定やメリットなどをお伝えします。

アメリカの農作物、残留農薬の高いものと低いもののリスト(ダーティダズン、クリーン15)

このデータは、アメリカの環境保護団体、Environmental Working Group (EWG)というワシントンD.Cを拠点とする環境保護を目的とする非営利団体が毎年発表しているもので、米国農務省(USDA)からの最新の試験データから毎年分析されています。

今年のリストで、EWG は、最も人気のある 46 の果物と野菜の 47,510 サンプルの USDA データを解析し、残留農薬の多いもの、少ないものとそれぞれランキングしています。

残留農薬が多く見つかった野菜や果物に関しては、「ダーティダズン」とよばれ、12品目リスト、残留農薬の少ない野菜や果物に関しては、「クリーン 15」といわれ、15品目のリストとなっています。

ダーティダズン(Dirty Dozen): 残留農薬が高いもの

残留農薬の高い順に書かれています。

1.いちご

2.ほうれん草

3.ケール(コラードグリーン、マスタードグリーン(からし菜)も含む)

4.ぶどう

5.桃

6.洋梨

7.ネクタリン

8.りんご

9.パプリカ、唐辛子

10.さくらんぼ

11.ブルーベリー

12.さやいんげん

全てのリストはこちらからも確認できます。
https://www.ewg.org/foodnews/dirty-dozen.php

ストロベリー、リンゴ、さくらんぼ、ほうれん草、ネクタリン、ぶどうのサンプルの90%以上に、2種類以上の農薬の残留物が検出されました。

Dirty Dozenの各アイテムからは、さくらんぼを除くすべてに50種類以上の農薬が検出されました。

殺虫剤の中でもっとも多いのは、ケール、コラード、マスタードグリーンで、このカテゴリーのアイテム全体で103種類の化学物質が検出されました。次に多かったのは、ピーマンと唐辛子で、101種類でした。

Dirty Dozenの生産物全てに、少なくとも1つのサンプルで少なくとも13種類の農薬が検出されました。中には23種類もの農薬が検出されるものもありました。

2011年以降、インゲン豆での使用が禁止されている神経毒性の有機リン系殺虫剤であるアセフェートが、その作物のサンプルの6%で検出されました。

ダーティ ダズンで最も頻繁に検出される 5 つの殺虫剤のうち 4 つは殺菌剤、フルジオキソニル、ピラクロストロビン、ボスカリド、ピリメタニルです。

殺菌剤は、果物や野菜に発生する白粉病(うどん粉病)などの真菌性疾患を予防または殺すために使用されます。これらは市場に向かう途中で果物や野菜にカビが生えないようにするために、収穫後によく使用されます。

殺菌剤の潜在的なヒトへの健康被害は他の農薬ほどよく研究されていませんが、新たな証拠からは、広く使用されている殺菌剤の多くがホルモン系を乱す可能性があることが示唆されています。

フルジオキシニルの研究では、エストロゲンのように作用して乳がん細胞の増殖を増加させることがわかっています。また、雄性生殖系に害を及ぼす可能性もあります。フルジオキシニルは、桃の90%とDirty Dozenサンプルのほぼ30%に見られます。


ピリメタニルは、甲状腺の機能障害に関連しており、体内のアンドロゲン受容体をブロックする可能性があります。ピリメタニルは、洋ナシで最も頻繁に検出された農薬で、サンプルの54%に現れました。
一部の研究では、ピラクロストロビンが肝毒性や代謝障害と関連している可能性が示唆されています。ピラクロストロビンは、Dirty Dozenの各アイテムの10%以上で見つかり、イチゴとさくらんぼのサンプルの約半数に見られました。


動物実験では、ボスカリドががんや甲状腺機能障害と関連していることが示されており、また、ホルモンを乱す可能性もあります。ボスカリドは、ブルーベリーのサンプルの約半分、さくらんぼとイチゴのちょうど50%以上で見つかりました。

クリーン15(Clean 15): 残留農薬が比較的少ないもの

次に、残留農薬の比較的少ないものについて。これは、クリーン15といって、15項目あります。

こちらは、少ない順に書かれています。

1.アボカド

2.とうもろこし

3.パイナップル

4.玉ねぎ

5.パパイヤ

6.冷凍さやえんどう

7.アスパラガス

8.ハニーデューメロン

9.キウイフルーツ

10.キャベツ

11.すいか

12.マッシュルーム(きのこ類)

13.マンゴー

14.さつまいも

15.にんじん

全てのリストはこちらからも見れます。
https://www.ewg.org/foodnews/clean-fifteen.php

これらは、農薬残留の少ないものなので、オーガニックではなくても比較的安心して食べられるかと思います。

これらの果物と野菜のサンプルのほぼ 65% で、洗浄後には残留農薬が検出されなかったと EWG は指摘しています。アボカドとスイート コーンのサンプルは最もクリーンなサンプルで、検出可能な農薬は 2% 未満でした。

これらの果物と野菜のサンプルのわずか10%以上に、2種類以上の農薬の残留物がありました。
最初の6つのクリーン15アイテムからのサンプルは、3種類以上の農薬を検出したものはありませんでした。

なぜ、残留農薬に気をつけなければいけないか

実は、アメリカで販売されている生鮮食品の約75%に、洗浄後でも有害な化学農薬の残留物が含まれているそうです。

オーガニックではない通常の農作物(コンベンショナルフード)には、人工的に作られた農薬や除草剤が使われていて、それらは体の中に蓄積し、癌や血液の病気の原因になり、体の免疫力を弱め、他の発癌性物質や病原体を誘発してしまうことが分かっています。

ハーバード大学の研究では、農薬を多く含む作物を大量に食べた人は、尿中農薬のレベルが高く、生殖能力が低いことを発見しました。

全粒穀物や葉酸などの食品や栄養素の中でも、低農薬作物を含む食品を食べた人々は、妊娠に成功する可能性が高かったとのことも分かっています。

もちろん、農薬を怖がって野菜や果物を避ける必要はありませんが、農薬残留の高いものは、できるだけオーガニックを選んだ方が安心ですね。

オーガニックの農作物の規定やメリット

アメリカ農務省「USDA」では、オーガニックの食品に関しては厳しい規定が設けられています。

オーガニックのマークがついた農作物に関しては全て、


・遺伝子操作されていないこと、
・合成肥料や農薬といった使用禁止物質を収穫前の少なくとも3年間、一切使っていない土壌で栽培されたものである

などの規定があります。

また、2014年に発行された栄養学専門誌『ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ニュートリション』などにも掲載されている研究でも、オーガニックの農産物にはオーガニックでない方法で栽培されたものよりも、明らかに多くの抗酸化ポリフェノールが含まれていることも分かっているそうです。

これらの抗酸化物質には、心血管疾患やある種のがんといった慢性疾患のリスクを減らす効果があることも分かっています。

さらに、生物多様性環境などの土壌の保全が鍵となる有機農法で野菜や果物を育てることは、オーガニックでない農法よりもサスティナブル、つまり持続可能であるとされています。

オーガニックは高価ではありますが、オーガニックではないものを食べ続けることでの弊害から来る将来の病気などの可能性を考えると、将来高額な医療費を払うよりはオーガニックの食材を選ぶ方がもしかしたら経済的なのかもしれません。

農薬を使った野菜や果物を食べる前に気をつけること

最後に、農薬を使った野菜や果物を食べる時に私達が気をつけるべきことをお伝えします。

①食べる前にしっかり水で洗うこと

②地元産のものを選ぶこと

③旬のものを食べること

この3つが基本です。

①食べる前にしっかり水で洗うこと

石鹸、洗剤、または市販の洗浄液は使わないこと。

水が最良の選択です。

アメリカ食品医薬品局(FDA)によると、
「石鹸や家庭用洗剤は、徹底的なすすぎにもかかわらず、果物や野菜に吸収され、病気になる可能性があり、また、市販の農産物洗浄液の残留物の安全性は不明であり、その有効性はテストされていない」
としています。

②地元産のものを選ぶこと

地元の農家から直接購入したものを食べることで、農薬のリスクを減らすことができます。

③旬のものを食べること

果物や野菜が 旬の時期はたくさん収穫できるので、価格も下がります。

価格の安い時に、旬のオーガニックのものをまとめて購入し、冷凍しておくことも良い方法です。

今回は、アメリカで野菜や果物を買う時、もしくはアメリカから輸入された野菜や果物を買う時に知っておきたい、残留農薬が多い野菜や果物、そして残留農薬の比較的少ない野菜や果物についての2024年の最新の情報をお伝えしました。

今後、アメリカ産の野菜や果物を購入するときに、どの野菜や果物が出来るだけオーガニックが良いのなどリストを見ながら参考にしてください。

野菜や果物には、良質のビタミンやミネラル食物繊維なども豊富に含まれていて、免疫力を高めてくれます。

農薬残留があるからといって一切食べないということではなく、ぜひ、これからも賢く選択して毎日の食卓の中に取り入れていってくださいね。

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