「食欲が止まらない」その理由を管理栄養士・ホリスティックヘルスコーチが解説|クレービング

今回の内容は、こちらの動画でも解説しています。

「栄養のことは誰より知っているはずなのに、夜になると甘いものが止まらない。」

これは、私の講座の受講生(管理栄養士やヘルスコーチ、その他ウェルネス分野の専門家)から、よく聞く言葉です。

「クレービング(Cravings)」とは、特定の食べ物が無性に食べたくなる状態のこと。甘いもの、しょっぱいもの、炭水化物……止まらない食欲に悩んでいる人は多いです。

でも、ここで一つ聞かせてください。

「あなたは、自分の心と体の栄養が足りていると思っていませんか?」

実はこれが、クレービングの最も見落とされやすい原因なんです。食の知識がある人でも、「自分は大丈夫」という思い込みが盲点になります。

この記事では、クレービングが起こる8つの原因を解説しながら、特に「栄養不足」という見落とされがちな視点を深く掘り下げていきます。

クレービングとは何か

クレービング(Craving)とは、日本語だと 「強い欲求」「無性に欲しくなる感覚」 という意味です。

特に、

  • 特定の食べ物
  • 甘いもの
  • カフェイン
  • アルコール
  • タバコ
  • SNS
  • 買い物

などに対して、

「頭から離れない」
「どうしても欲しい」
「我慢しようとしても気になる」

という状態を表す時によく使います。

そのサインを読み解くことができれば、自然と自分の心と体と対話できるようになって、改善しやすくなっていきます。クレービングは「体からのメッセージ」なんです。

クレービングが起こる8つの主な原因

原因① 栄養不足

実は、私の受講生は、管理栄養士、ヘルスコーチ、ウェルネス分野の専門家がほとんどですが、「栄養不足」は、ウェルネス専門家でも意外と見落としやすいところ。

特に管理栄養士やヘルスコーチに多いのが、「知識はある、でも自分の食事は後回し」というパターン。仕事や家事、育児に追われながら、自分の食事は適当になっていることってないですか?

そんな私も、子供が学校に行って、夫が家にいない時の1人ランチは、わざわざ作るの億劫だなと感じる時があります。でも、しっかり作らなくても、栄養バランスはできるだけ意識するようにしてます。また、最初から作らなくてもいいように、前日の夕食の残りをそのままランチにいただくこともあります。

そして、家族が家にいる時は、できるだけ家族みんなで揃ってご飯を食べる。それだけでも、栄養バランスを整えて作る意識はぐんと上がります。

栄養不足で起こるクレービングの例は、

甘いものが止まらない → 炭水化物・タンパク質・マグネシウム・鉄・その他ミネラル不足の可能性

しょっぱいものが無性に食べたい → ミネラル(特に亜鉛・ナトリウム)不足の可能性

カフェインへの依存感 → 全体的な栄養不足・睡眠不足の可能性

などもありますが、原因は一つではなく、複数ある場合もあります。

そして、栄養不足の中で意外と見落とされやすいのが、炭水化物不足です。

「炭水化物は太る」「糖質は悪い」そう思い込んで、炭水化物を極端に減らしている方も多いです。でも実際には、炭水化物は太るとか悪どころか、人間に必ず必要な必須栄養素の一つなんです。

炭水化物を必要以上に制限すると、エネルギー不足になり、血糖値の乱れが起きて逆に食欲が暴走しやすくなります。脳の主なエネルギー源は炭水化物に含まれるブドウ糖。炭水化物が足りないと、集中力が落ち、判断力も鈍り、「何か食べなきゃ」という衝動が強くなります。

ただ、ここで、特定の栄養素だけに意識を向けすぎることにも注意が必要です。甘いもの欲してるから炭水化物やタンパク質、ミネラル、しょっぱいものを欲してるからミネラル摂らなきゃ、こういった「個別」の栄養素への意識が、逆に食事のバランスを崩すことがあります。

栄養は、単体で働くのではなく、お互いに助け合って全体を通して働いています。これになかなか気づかない人が多く、栄養を単体で判断しがち。これもホリスティック栄養学の根本的な視点なんです。

一つの栄養素を増やせばいいという話ではなく、全体のバランスを整えることが大切。そのために私が日頃クライアントや受講生にお伝えしているのが、

Misaki's Plate(ミサキズプレート)というものです。

炭水化物:タンパク質:野菜 = 1:1:2

これに、良質の脂質(オリーブオイル、アボカド、ナッツなど)、果物、そして十分な水。そして、

「楽しく食べること」。

図で表すとこんな感じです。

また、食べることへの罪悪感や制限への意識が強いと、それ自体がストレスになり、クレービングを引き起こします。Misaki's Plateは、「何を食べなきゃいけない」「何を食べてはいけない」ではなく、全体のバランスを包括的に見た考え方で、細かな量よりもバランスが大事です。

実は私は意外と大食いなのですが、バランスを意識しているため、たくさん食べても太りません。むしろ、食べる量が少量でもバランスが乱れているときは、ちょっと肉がついたかなと感じることはあります。

栄養バランス、摂れてますか?再度確認してみましょう。

原因② プライマリーフードの不足(ストレス

ホリスティック栄養学では、食の栄養を第二の栄養(セカンダリーフード)、食以外の心の栄養を第一の栄養(プライマリーフード)といいます。

プライマリーフードの中には、人間関係、運動、環境、経済的なこと、ストレス、精神的なこと、睡眠などなど、健康や幸せに関する様々な背景が含まれます。

このような、プライマリーフードの不足でストレスが続くと、コルチゾール(ストレスホルモン)が上がり、甘いものや脂っこいもの、アルコールを欲するようになることがあります。これはemotional eating(感情的な食べ方)とよばれることもあります。

食べることがエンターテイメントや感情の出口になっている場合、根本はストレスマネジメントが問題です。

家族のご飯はしっかり栄養のあるものを作って、家族のために一生懸命頑張っているお母さんが、自分で全てを背負い込み、家事も育児も1人でストレスを抱えながらやっている、そんな状態の場合は、その反動で、1人になった時に甘い物がやめられない、ということも聞くことがあります。

多少のストレスは、毎日の活力になることもありますが、強いストレスを誰にも話せずに1人で抱えている場合、クレービングに走ってしまうこともあるので、1人で我慢しないことや、運動や質の良い睡眠も心がけたり、毎日の生活の中に適度な休息や楽しみも入れることって本当に大切ですね。

原因③ 水分不足

脱水状態になると、体は空腹のような感覚を引き起こすことがあります。少し食欲を感じたときは、まず水を一杯飲んでみる。これだけで収まることも多いです。ただし、飲みすぎも体のバランスを崩すため注意が必要です。

よく、1日に何リットル飲めばいいですか?と聞かれることがありますが、運動量や季節によっても一人ひとり必要量は変わってきます。一番目安となるのは、量を目安にするのではなく、喉が乾いたと感じたら飲むのがベストです。体がサインを送ってくれます。

原因④ 陰陽のバランス(ホリスティック栄養学的視点)

陰陽の中では、ある特定の食べ物は陰の質を持っており、一方でその他の食べ物は陽の質を持っています。陰の食べ物ばかりを食べたり、陽の食べ物ばかりを食べたりしていると、バランスを取るために、Cravingが起こります。

例えば、糖質(陰)の多すぎる食事を摂りすぎると、肉(陽)が無性に食べたくなります。また、生の食べ物(陰)を食べ過ぎると、調理しすぎた食べ物(水分が極端に少なく乾燥しているもの)を無性に食べたくなったり、またはその逆のパターンもあります。

下記に、参考として、主な陰の食べ物、陽の食べ物と、陰陽のバランスが取れている食べ物の種類をまとめておきます。

陰の食べ物陽の食べ物
調理したもの
果物鶏肉、卵
甘味料
アルコール

陰陽バランスの取れている食べ物

  • 玄米
  • ホールグレインズ(全粒穀物):玄米、アワ、キヌア、そば、大麦
  • 野菜:かぼちゃ、人参、かぶ、玉ねぎ、ブロッコリー、マッシュルームなど
  • 緑黄色葉野菜
  • 豆類

基本的に、栄養バランスを保っていると、陰陽のバランスも整いやすくなります。

参考: Food and Healing, Annemarie Colbin and Healing with Whole Foods, Paul Pitchford.

原因⑤ 食品添加物

グルタミン酸ナトリウム(MSG)などの化学調味料は、脳のを刺激し、「もっと食べたい」という衝動を引き起こします。インスタント食品やカレールー、粉末だしなどに多く含まれています。

カレーが無性に食べたい!カップラーメンが食べたい!というような時は、もしかしたらその食べ物そのものではなく、その食べ物に含まれている食品添加物がクレービングを引き起こしている可能性もあります。しょっちゅうそれらの食べ物や市販の特定の食べ物が食べたくなる場合は、原材料を調べてみて、食品添加物がクレービングの原因になってないかも考えてみるといいでしょう。

食品添加物を多く含む食べ物を避け、味付けも天然だしやできるだけ食品添加物を含まないものに切り替えただけで、クレービングが減ったという方も多いです。

原因⑥ ホルモンバランスの乱れ

月経周期・妊娠・更年期などでエストロゲンやテストステロンが変動すると、特定の食べ物への渇望が起きやすくなります。また、睡眠不足や過労でもホルモンバランスは乱れます。自分の生理周期を観察し、どんなタイミングでクレービングが起こるかを記録してみるだけでも、傾向が見えてくるかもしれません。ホルモンバランスに関しては、女性だけでなく、男性も例外ではありません。特に疲れている時やストレスがある時、睡眠不足の時などは、女性も男性もホルモンバランスが乱れやすくなります。

原因⑦ 自己破壊行動のパターン

体調が良い時期ほど、「少しくらいいいか」という油断が生まれやすい。これが続くと血糖値が乱れ、気分の変動も大きくなり、さらに強いクレービングを引き起こす悪循環になります。調子がいいときこそ、ベースの習慣を崩さないことが大切です。これは、若い人で、若いからまだ大丈夫、と思っている人にも、たまにならよくても、習慣にならないように意識することが大事です。

原因⑧ 季節・環境的なもの

夏にアイスが食べたくなる、冬に温かいものや脂肪分の多いものが欲しくなる——これは体が季節に応じて必要なものを求めているサインでもあります。一時的なものであれば、無理に抑える必要は全くありません。ただし、それが長期に渡って続くようなら別の原因を疑う必要があるかもしれません。

ヘルスコーチ・管理栄養士が特に注意したいこと

食の専門家ほど、「自分は大丈夫」という思い込みを持ちやすいです。知識があることと、実際に自分の体に落とし込んでいることは別の話です。

私の講座でも、こんな声をよく聞きます。

「クライアントには食事指導しているのに、自分は夜食べすぎてしまう」

「甘いものへの欲求が強くて、自分のことが信頼できなくなってきた」

これは意志の問題でも、知識不足でもありません。自分自身の栄養状態やストレス、ホルモンの状態を、専門家目線ではなく「自分ごと」として見られていないこともあります。

クライアントをサポートする前に、まず自分の体のサインを丁寧に拾っていくこと。一つの栄養素だけ、一つの習慣だけにとらわれたり、正解を求めようとするのではなく、常に自分の心と体は何を求めているのか?を自分で体に正直になり、極端な食事制限や特定の栄養サプリに頼るのではなく、自分のバイオ個性を大切にしながら、全体をホリスティックに見ていく必要があります。

まとめ:クレービングは体からのメッセージ

クレービングの原因は一つではありません。ストレス、水分、栄養バランス、ホルモン、食品添加物、自己破壊パターン、季節……それぞれが絡み合っています。

その中でも最も見落とされやすいのが実は「栄養不足」。特に食の専門家が「自分は足りている」と思い込んでいるケースです。

食欲と戦うのをやめて、まず体が何を求めているかを聞いてみてください。そこから、クレービングとの付き合い方が変わってきます。

もし、自分自身のクレービングの原因を一緒に探っていきたい、またはクライアントへのアプローチをもっと深めたいという方は、幸せパフォーマンスコーチ養成講座や個別コンサルティングでサポートしています。

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